並ぶ



ニワトリが鳴く前からアラームを鳴らして、日が昇る前から目を覚ました。
あくびをしながら坂道を下って、時計を見ながら列に並んだ。

新聞を読む人。
ぼーっとする人。
たばこを吸う人。
居眠りをする人。
独り言を言う人。
スクワットをする人。
電話をする人。
ラジオを聴く人。
お酒を飲む人。
リズムを取る人。
数を数える人。
人間観察をする人。
みんな行儀よく並んでいる。

行列の先には、一軒の古びた食堂がある。
そこで振舞われる目玉焼きこそが、我々をここへ呼び寄せたのだ。
しかし、わざわざ並ぶほどか?
誰もがはじめは、そんな疑問を持つだろう。
かく言う私も、じ、実は今日が初めてなのだ。
み、みんなには内緒だが、ちょっとだけ、ドキドキもしている。

そして、日が昇り、ニワトリが声を上げると、食堂はガランと口を開けた。
我々の顔には光がさし、どこからともなく歓声が上がった。
列は流れるように、店内へと吸い込まれていった。

こうして今朝は、目玉焼きを食べた。


Photo by Konji Nogitsune