青いりんごと黒いお月さん*



むかしむかし おじいちゃんがね
ぼくに 青いりんごと なにかの種をくれたんだ
りんごは両手いっぱいにおおきくって かじりつくのもたいへんだ
種はね 手のひらでちいさく 黒いお月さんみたいなかたちしてた

ちいさな種に 土のおふとんかけてあげたよ

明日どんな芽がでるのかな ぼくよりおおきくなるのかな
どんな色の花になって どんなにおいがするのかな
どんなかたちの実になって どんな味がするのかな

黒いお月さんは まだあんなちいさいのに
きっともうそれを知ってて それをぜんぶ内緒で持ってる
びっくり箱みたいで ふしぎな ちいさな宝箱

そんなことおもいながら
ぼくが りんごをぐるっとかじると
おじいちゃんはしわくちゃな手で
ぼくのほっぺを そっとなでた


*'13/08/09 「青いりんごと黒いお月さん」 改