――あなたを見ていると笑顔を忘れる
悲しいわけではないのだけど、嬉しいわけでもないのです
時は流れているのでしょうか
そう自分に問いかけてから、あなたにも問いかけてみます
返ってくる言葉は、いつも決まって赤色です
それはまるで、秋に見られる紅葉のようです
何かを知らせる信号のようです
夜を誘う夕陽のようです
ふと見上げた空が、いつまでも青いとはかぎらない
りんごの実も、わたしの心も、いつまでも青いとはかぎらない
時に立ち止まり、時に恋焦がれ、時に道を見失うのです
それでも朝日はやって来ます
たまには雨も降っています
何故そうなっているのか、わたしにはわかりません
きっとあなたにもわかりません
けれども確かに、流れているのです
行き先はどこだか知りません
どこから来たのかも知りません
しかし、わたしが思うには、ただ同じことを繰り返しているだけではない
同じようで、同じでない
そんな道を、らせん階段をのぼるように、もくもくと進んでいるのでしょう
そして少しずつ、世界と未来を広げている
天と地の高さを知って、喜怒哀楽を味わうのです
すると、何故だか不思議と、流れているのです
同じようで、同じでない景色の中
いつの間にか踏み出していた、わたしの足跡に気づくのです
ある人は違う道を行き、ある人はそれを辿るのです
また、ある人はそれを“進化”と呼ぶのでした
わからなくてもいいのです
いつも“これから”という“現在”があるのです
なんとなくでいい
感じられたら、それでいいのです
感じなくても、それでいいのです
でも、たまには
――あなたを見ていると、笑顔を思い出す
なんてことも、言われてみたいのです
*'12/11/28 「あ」 改