天使のブルース*



星たちが夜と朝のあいだをさまよう頃、
ふいに目覚めた僕は、鮮明な夢とおぼろげな現実のあいだをさまよっている。

あの髪をなでた、あのなめらかさ、あの感触が、
手をつたい、胸をつたい、
こころに切なく、ブルースが響く――。


 心配しないで。
 私はいなくなったりしないよ。
 消えたりしないよ。

 きっと、きっとだよ。

 あなたの悲しみも、くるしみも、
 ひとりで泣いてる、その涙のわけも、
 私はみんな、知ってるよ。

 あなたの笑顔の裏にある、
 努力も、我慢も、秘めた想いも、
 私はみんな、知ってるよ。

 でもね、私にできることは少ないの。
 かぎられた中で、ちいさなことをするしかないの。
 行き場のない私のこころは、いつも切なく歌っているの。

 あなたの悲しみをぬぐえたなら、
 どんなに私はうれしいでしょう。
 あなたのくるしみが報われたなら、
 どんなに私はよろこぶでしょう。

 でもね、私にできることは少ないの。
 かぎられた中で、ちいさなことを待つしかないの。
 置き場のない私のこころは、いつも切なく歌っているの。

 あなたが思い出を開いてみても、
 あなたが街を見渡してみても、
 私はそのどこにもいないよ。

 空の上にも、ノートのすみにも、
 あなたのこころが描きだせば、
 私はそのどこにもいるよ。

 あながが私を感じてくれれば、
 私はいつでも、そこにいるよ。

 でもね、私にできることは少ないの。
 ありふれた中で、みえないことをするしかないの?
 やり場のない私のこころは、いつも切なく歌っているの。

 あなたの重荷を減らせたなら、
 どんなにあなたはうれしいでしょう。
 あなたの愛しさを伝えられたなら、
 どんなにあなたはよろこぶでしょう。
 あなたがこころを開いたなら、
 どこまでもあなたは飛べるでしょう。

 心配しないで。
 私たちはいなくなったりしないよ。
 消えたりしないよ。

 心配しないで。
 私たちはいつでもつながってるよ。
 ひとりじゃないよ。

 ずっと、ずっとだよ。


*'13/08/10 「天使のブルース」 改