青いりんごと黒いお月さん



むかしむかし おじいちゃんがね
ぼくに 青いりんごと 何かの種をくれたんだ
りんごは 両手いっぱいに大きくって かじりつくのも大変だ
種はね 手のひらで小さく 黒いお月さんみたいな形してた

土に小さな穴ほって そこにこの種うめたなら そこはきっと夜の世界
明日どんな芽がでるだろう ぼくより大きくなるのかな

どんな色の花を咲かせて どんな香りがするだろう
そしてどんな実をつけるだろう
その実をとって食べたなら どんな味がするだろう

この黒いお月さんは まだこんなに小さいのに きっと
もうそれを知っていて それをぜんぶ隠し持ってるんだ
びっくり箱みたいで ふしぎな 小さな 宝箱

そんなこと思いながら
ぼくが りんごをぐるっとかじると
おじいちゃんは しわくちゃな手で
ぼくのほっぺを そっとなでた