よくある話



 ふと目が覚めると、部屋のなかには太陽のひかりがいて、
やさしく「おはよう」と言ってくれているようだった。
 窓の外を見ると、そらは爽やかな青色で、そこにふわふわと白い雲。
こんな朝はドアをすり抜け、手をひろげてみたくなる。
そして、柄にもなくラジオ体操なんかしたりして――
「ォイッチニ、サンシ、ゴーロク、シチハチ」
「いっちにー、さんしっ、ごーろく、しち……」
 一瞬のひんやりとした風が、軽快な体と口を、いともたやすく止めてしまう。
そこでふと我に返り、そそくさと部屋へと戻るのだった。

 “人の生き方”とは、数学というよりは国語的で、
答えはひとつではないように思える。
だからこそ、むずかしいと感じてしまうのだが。
 しかし、その答えというものがあるとすれば、
それはきっと、人それぞれの、“自分のなか”にあるのだろう。
自分が“良い”と思えれば、それが正解といえなくもないのだ。
 それがどこか遠く、地球の裏側にあるのだとか、
テストでイイ点数がとれるだとか、お金がいっぱい必要だとか、
何歳以上、何歳未満まで、だとか、そういうんじゃあない。
 今ここにいる自分が、すでにそれを持っているのだ。
そしてそれは、汗と涙に洗われて、悩み傷つき磨かれて、
地球上のどんな宝石よりも、うつくしく輝いていくのだろう。