「ぼくたちこのまま……わかりあえないのかな?」

 愛されていないと気づいて、ぼくは悲しくなった。
ぼくも愛していないと気づいて、ぼくは悲しくなった。
夕陽がなんだか、青ざめて見えた。

 世界の声、どこからか聞こえてくる。
きみが泣いていて、あの子が怒っている。
誰かは不安で眠れない。
そんな声は、ぼくの胸で響いている。
――痛い。
(ごめん、何もできなくて……)

 やがて閉ざされた明日への扉を、今日も何かが叩いている。
それは、命の鼓動だろうか。
それとも、風の悪戯だろうか。
「ぼくたちこのまま……わかりあえないのかな?」
 そう問いかけられているようで、ぼくはなんだか怖かった。
でも、もうどこにも行くところがない。
四方八方、荒ぶる山脈、明鏡止水の湖畔にぽつり。

 いつしか、重く熱い扉に、ぼくはからだを寄せていた。
どうして、なぜだか、わからない。
だけどきっと、ぼくはわかりたいんだと思う。
その奥にあるものを、その先にあるものを。

(大丈夫、ちゃんとぼくには届いているよ)